2012/07/04

エルフ戦記Ⅲ (2)のつづき

 今回の遠征では私が密かに実行しようとしていることもある。それはアマゾネスの捜索だ。
 かつて苦難の時代、彼女たちは離散した。
 レイティアの説明では、それは三期に分けられる。
 最後はセレウコス朝の傭兵として戦い戦場で捕虜になった時点。戦いの相手はプトレマイオス朝だったので、生き残った者はすでに救い出した。
 二度めはレイティアが傭兵になることを選択した時。これが黒海北岸にいたグループである。
 そして最初は干ばつや疫病で被害を受け、レイティアが女王にった頃に。これはバクトリアの北方、今のカザフスタン辺りで起こったことなので詳細は不明だ。

 私が探そうと思い立ったのは、この最初に別行動をとったグループである。レイティアに頼まれたわけではない。ある意味、反レイティア派だと思われるので当然なのかもしれないが……

「だからバクトリアよりかなり北方、いわゆる草原の道あたりを探そうと思う。まだ匈奴は弱体のはずだしね」
 歴史通りなら今の匈奴は西の月氏と東の東胡に挟まれた小国のはずだ。
「その辺りには普通じゃいけないだろう」
 とトキ。
「まあ、そりゃそうだけどさ」
「それに彼らはまだ経験に乏しい」
「まだ出来立てのほやほやだからしょうがないでしょう」
「できれば安全に経験をつませたい」
「むぅ」
「それに宮殿のだらけた姿しか知らないのはまずいと思うんだ」
「ひょっとして私のことか」

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