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バルカ家の出発を見送った後、私たちはシラクサ(シシリー島)に移動した。庇護者であるハミルカルのいない今、カルタゴに長居は無用だ。最高権力者ハンノ・ボミルカルは邪魔な私達を起訴しかねなかった。
幸いシラクサの有力者である知人の推薦もあり私の海賊退治作戦はローマの許可を得ることに成功した。おまけに最終的な掃討戦にはローマ軍まで参加してくれるという。
もちろん無料ではない。購入するよう求められたローマで不要になった軍船は修理費まで合わせれば莫大な金額になる。また海賊を取り締まると言う理由で領有を望んだアポロニアについては認められたが、それより北(イリリア)の権利は全てローマのものである。
それでも私には十分だった。
軍船の修理が終わり部下たちの訓練で忙しかった私がシラクサの知人を訪ねたのは出陣2日前のことだった。
シラクサの僭主ヒエロンの縁者でありながら彼は静寂を求め町外れの城壁の近くに住居を構えていた。
勝手知ったる他人の家とばかり、中に入ると彼は机の上にひろげた図面を見て考え込んでいた。邪魔をせぬようついてきたピピに小遣いを与え外に出しそのまま待つことにする。
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